2015年4月30日木曜日

多摩川河口探鳥会 5月6日(祝)




●5月6日(祝)
●集合: 京浜急行大師線小島新田駅 午前10時
     京急川崎駅から大師線で約10分。
     京急川崎駅発9:34または9:44が便利です。
●解散: 午後2時頃、現地にて。
●参加費: 200円(保険料を含みます。18歳未満の方は無料です。)
●持ち物: 弁当・飲み物(必須)・帽子・日焼け止め・あれば観察道具
●履物: スニーカーなど歩きやすい靴

●みどころ:シギ・チドリ類の春秋の渡りの重要な中継地である多摩川河口部。
 この場所に、川崎市と大田区をつなぐ羽田連絡道路建設計画が持ち上げっております。これが通ると多摩川河口周辺5kmの範囲に5本の道路が整備される事になります。
 そして、渡り鳥の中継地だけでなく、ゴカイ類、魚類等多様な生き物達が暮らす干潟がつぶされてしまいます。当該地にもちあがっている道路建設計画について考えつつ、渡り途中のシギ・チドリを観察しましょう。
 コチドリ、キアシシギ、イソシギなどのシギ・チドリ。渡ってきたばかりのコアジサシを探します。日差しがだんだんと強くなる時ですので、日焼け対策と水分の用意もお願いします。
 人間活動・経済活動も大事。でも失ったら取り戻すことのできない豊かな生態系を守っていくことも、とても大切なことです。ぜひ多くの方に、この干潟の大切さを知って頂きたいと思います。

 羽田連絡道路建設計画については日本野鳥の会神奈川(神奈川県ホームページ)をご覧ください。
  http://www.mmjp.or.jp/wbsj-k/

●ご注意

 暑さ対策・日焼け対策は忘れずに。熱中症になったらキケンです。飲み物は多めにお持ち頂くことを強くお勧めします。(干潟の真ん中に飲み物のの自販機はありません!事前に十分にご準備ください。)

   主催:日本野鳥の会東京
  協力:日本野鳥の会神奈川支部


 東京湾奥部は、野鳥を指標とした国際基準をもとに、アジア地域のシギやチドリの生息にとって重要であることが確認され、IBA(Important Bird Area:重要野鳥生息地)に選定されています。
もちろん多摩川河口干潟はその中にあります。日本のIBAについては(財)日本野鳥の会の「Important Bird Areas in Japan 翼が結ぶ重要生息地ネットワーク」に詳しく紹介されています。
また、IBAとしての東京湾奥部については同サイトの「IBAサイトの詳細 東京湾奥部」に解説
が載っています。ぜひこちらもご覧ください。
http://www.wbsj.org/nature/hogo/others/iba/search/sites/kanto/74-tokyo.htm





2015年4月19日日曜日

営巣地での観察・撮影の注意



 先月号ではリアルタイムでの野鳥の出現情報の取り扱いについて書きましたが、今月号では営巣地での観察や撮影のことについて注意を喚起します。営巣地での人の活動は卵や雛の生死にもかかわる重要な事柄ですので、常に注意を払って真剣に考える必要があります。
キジバトなどの一部の例外はありますが、野鳥の繁殖活動はモズやエナガなど早いのもでは3月頃から始まり、ウグイスなどは7 月下旬頃まで続いています。この期間は注意を怠らず、観察や撮影によって繁殖の妨害をしないように心がけるのが最低限のマナーです。

 繁殖活動はつがいの形成に始まり、巣作り、産卵、抱卵、育雛、巣立ち、巣立ち後の巣外での育雛という段階があります。雛が巣立つまでの間、親鳥は営巣場所を中心に生活をすることを余儀なくされます。観察する立場から言うと、営巣場所が判明することで、容易にその鳥を見たり撮影したりすることが可能になるわけです。しかし、営巣場所に人が長く留まることはリスクを伴います。野鳥は一般的に人に対して警戒心を持ち、距離をおいて生活しています。営巣期に人が近付いても逃げない鳥に出会うことがありますが、人を警戒していない訳ではありません。警戒しつつも巣作り、抱卵、雛への餌運びといった行動への執着心が警戒心よりも勝っているのです。そのバランスは種によって違いますし、同じ種でも個体によって異なります。また、つがいの内の雌が特に警戒心が強かったり、その逆の場合だったりすることもあります。観察や撮影のために巣に近付き過ぎ、それが長時間にわたると繁殖の失敗につながることがあります。

 数年前に、ある林道沿いに営巣したサンコウチョウは、1ヶ月近くも抱卵を続けた末、繁殖に失敗しました。このつがいは雄が警戒心の強い個体でした。考えられる繁殖失敗の原因は2つあります。一つは卵が無精卵だったことですが、もう一つは抱卵の途中で卵が冷えて死んでしまったことです。この営巣地では、林道沿いに営巣したこともあって多くの観察者や撮影者が絶えず毎日来ていたようです。撮影した人がブログなどで情報を流すことで、さらに多くの人が晴れの日も雨の日も、朝から夕方まで訪れるようになりました。抱卵交替時に巣に近付いてきた雄を撮影者が追いかけ回し、抱卵できなかったために発育途中の卵が死んでしまったのが原因と私は考えています。卵が孵化しないで存在し続けると、次の行動に移せないのが野生の鳥の定めなのです。また、よくありがちなのは「鳥が虫をくわえたまま、じっと動かず姿を見せてくれた」と言う現象です。この場合は、巣に雛がいて餌を運んできた親鳥が、観察者を警戒していつまでも巣で待つ雛に近付けなかったことを意味しています。スズメほどの大きさの小鳥では抱卵期間(卵を温め孵化するまでの日数)は2週間程度、育雛期間(雛が孵化してから巣立ちまでの日数)は2週間程度です。巣立ちの時には雛はほぼ親鳥と同じ大きさになっているのですから、1分1秒が野鳥にとっては貴重な時間なのです。野鳥の生態を知る上で繁殖生態を知ることは重要ですが、個人の楽しみのために野鳥の生活を脅かすことがあってはなりません。先月号で書いた野鳥の生息情報も、繁殖に関することの場合は、その取扱いを特に注意しなければなりません。近年では野鳥の密猟者が、巣の近くでたむろする観察者や撮影者を目印に巣を見付け、夜間などに訪れて雛を持ち去るケースもあると言います。

 野鳥が営巣している場合は、できる限りその場を早く離れましょう。探鳥会でも昼食を予定した場所で繁殖の兆候が見られた場合、急遽予定を変更して移動することがあります。バードウォッチングにはルールブックはありませんが、野鳥の生活を脅かさないのがマナーです。そしてそのマナーはひとり一人が、自分の良心と相談して決めることなのです。     
  
(支部長 鈴木茂也 はばたき2014年11月号 支部からのメッセージより)

2015年4月18日土曜日

【報告】2014年会員フォーラム

 今年の会員フォーラムは12月6日、横須賀市勤労福祉会館で開催されました。今年の内容は三浦半島の話題が中心。参加者約60名(写真は鈴木支部長)





2015年4月4日土曜日

次世代に残したい神奈川の自然            第1回:多摩川河口干潟

 2015年4 月から神奈川支部では、「次世代に残したい神奈川の自然」として表紙写真と連動した短期連載を始めます。開発問題や自然再生や地域の産業と連動して神奈川県内の環境をピックアップします。今回は、道路建設で署名活動をしている多摩川河口を取り上げます。


 多摩川河口干潟は、埋め立て等により多くの干潟が失われた東京湾奥部にあって、なお良好な干潟生態系をとどめており、プランクトンからゴカイ類、貝類、藻類、甲殻類、魚類、渡り鳥に至る多様な生物空間を形作っています。また、この生態系により、水質の浄化機能や、有用な魚介類の稚仔魚を育成する機能を担っています。都会の中で本物の自然に触れられる場所として、多くの人が自然観察や散策等に利用しています。

 科学的にも、多摩川河口干潟で確認されたレッドデータブック掲載種は、環境省基準で14種、神奈川県基準で37種に及び、山階鳥類研究所による標識調査結果によれば米国アラスカ州、豪州各地などから定期的にシギ・チドリ類の渡りが確認されています。こうしたことから、多摩川河口干潟は、環境省の「日本の重要湿地500」及び「モニタリングサイト1000事業シギ・チドリ類調査地」に、また国土交通省により策定された多摩川水系整備計画でも「生態系保持空間」に位置づけられ、バードライフ・インターナショナルが選定した重要野鳥生息地(IBA)「東京湾奥部」にも指定されています。

 神奈川支部では、2006年から継続して多摩川河口の保全を神奈川県などに要望して来ました。しかし2014年から国際戦略特区の構想で「羽田連絡道路」の建設がスケジュールに上がりました。首都高速湾岸線の補完的な意味がある国道357 号線と「羽田連絡道路」の平行整備という案です。その結果多摩川河口周辺5kmの範囲に5本の道路が整備される事になります。これは非常に無駄な公共事業と考えます。 多摩川河口干潟は、長期的に渡り鳥の利用は減少しています。1つの理由は、羽田空港の第4滑走路増設の影響が考えられます。しかし、干潟環境を分断する橋梁案の道路計画は鳥類の利用に壊滅的な影響を与えます。吉野川では、徳島県での調査結果からも、架けられた橋の上流部では鳥類が大幅に減少しているデータが出ています(徳島東環状線阿波しらさぎ大橋環境モニタリング調査:平成24) 。 2014年10月には、(公財)日本野鳥の会、WF-J、日本自然保護協会による意見書も関係各機関に提出されました(神奈川支部HP参照)。日本では、環境への配慮に関しては事業計画が確定してから、その事業を行う事を前提にアセスメントが行われます。環境への配慮は無きに等しい現状です。2007年「多摩川河口の自然を考えるシンポジウム」において戦略的アセスメントの必要性も提案しました。環境への影響がある場合は、事業中止を含める、総合的なアセスメントです。2007年から十分に時間が経過している現在でも、環境調査は行われていません。生物多様性国家戦略や海洋基本法で規定されている、保全戦略は、現実の行政施策には反映されなく意味を成していません。

 2014年 2月段階では事業主体も決まっていませんので、今後の経過は不明です。道路計画を含めた大田区側の都市計画などを含めて、情報を集めた上で議論を深めたいと思っていますが、残念な事に川崎市や大田区には道路計画の議論が起きていません。市民感覚で税金の利用方法や地元の環境保全について理解を深める方策についてもNGO側も考える必要があます。引き続き署名活動も展開中です。ご協力をお願い申し上げます。
                     (副支部長:石井隆)
   

2015年4月2日木曜日

映画『鳥の道を越えて』


禁猟後67年を経て、鳥と人間の関係を改めて見つめ直すドキュメンタリー

「祖父の見た“鳥の道”を、見てみたい!」
映画の舞台は監督・今井友樹の出身地、岐阜県東白川村。あるとき祖父・今井照夫から、かつて故郷の空が渡り鳥の大群で埋め尽くされたという話しを聞かされる。孫である監督は“鳥の道”を探し求めて旅に出る。

「鳥を捕って食べる?!」
渡り鳥の大群が渡っていた時代、秋になると村では「カスミ網猟」が行われていた。捕って食べるためである。渡り鳥を「カスミ網」でどのように捕まえたのか。なぜ渡り鳥を食べなければならなかったのか。そしてなぜ現在は禁猟になっているのか。旅の過程で生まれるひとつひとつの疑問を丹念に 追っていく。

4月4日(土)~4月24日(金) 横浜シネマリンにて劇場公開
●日程:4月4日(土)~4月24日(金)の3週間
   * 4月12日(日)は映画上映後に今井友樹監督の舞台挨拶があります。
●時間:4月4日(土)~4月17日(金)12:35   
 4月18日(土)~4月24日(金)時間未定
●料金:当日一般1,500円/大専1,300円/高校生以下・シニア1,000円 
●会場:横浜シネマリン(http://cinemarine.co.jp)
  住所:〒231-0033 神奈川県横浜市中区長者町6−95

●公式ホームページ http://www.torinomichi.com/



監 督   今井友樹
制 作   鈴木正義/今井千洋
撮 影   澤幡正範/川口慎一郎/永山正史/箕田朗子/佐藤孝博/今井洋介/早川正文
録 音   高木 創
作 図   岩井友子
音 楽   姫田 大(フルート)
監 修   佐藤文男(公益財団法人山階鳥類研究所)
共同制作    CINE-CLIMB
製 作   工房ギャレット
助 成   文化芸術振興費補助金/公益財団法人トヨタ財団

2014年/日本/93分/ドキュメンタリー
企画・制作・配給   工房ギャレット


平成26年度 文化庁映画賞 文化記録映画優秀賞
第88回 キネマ旬報ベスト・テン 文化映画部門第1位
第56回 科学技術映像祭 内閣総理大臣賞