2015年11月25日水曜日

新刊「日本鳥類鳴き声大辞典」


     支部会員 石井直樹 編著・出版




A4 判並製本370 頁
(CD-ROM 付き) \4,000 +税

 支部会員には、\3,200(送料・税込み)で提供。
日本の鳥を扱った内外の野鳥図鑑から、鳴き声の文字表記(カナ、および英字)とその特徴・発声環境に関するデータを収集し、鳥種ごとに、いろいろの鳴き声(囀りと地鳴き)を列挙するとともに、同じ文字表記の鳴き声を発する種を辞書風に並べた。これらのデータはExcel 形式のファイルとしてCD-ROM に入れてある(音声そのものは入っていない)。
本書はAmazon とHobby’ s World で扱っており、神奈川支部事務室でも閲覧できます。
お問合せは、著者(sgb01741@nifty.com)まで。
 
(石井直樹)

次世代に残したい神奈川の自然

 第9回 丹沢山地


支部顧問  畑 俊一

 丹沢山地は神奈川県北西部に位置し、東西約40k m、南北約20 km、全県土のほぼ6分の1に及ぶ広大な山地である。山域の北側は山梨県道志村に接し、西は山中湖村および静岡県小山町を介して富士山の東山麓と結ばれている。山域は表丹沢、東丹沢、西丹沢および北丹沢に区分けされ、神奈川県側の大部分は丹沢大山国定公園(その中央部は特別保護区)と県立丹沢大山自然公園に指定されている。

●丹沢の魅力をどのように伝えようか? 標高1000 mを越える頂は主峰の蛭ケ岳(1673 m)を頭に50 座を数え、派生する大小の尾根が無数の急峻な流れを形作っている。ツキノワグマ(約50 頭前)をはじめ10 数種類以上の大型野生動物が生息し、鳥類(37 科158 種)も年間を通して全山域を利用している。中小型の哺乳類、爬虫類、両生類、淡水魚類、および昆類など他の動物相も豊かである。 植物相は種子植物およびシダ植物を主に1550 種が記録されており、この多様な生きものたちの重要な生息地となっている(1997 年)。

 本県では初めてのセグロカッコウも檜洞丸への夜間登山の際に記録されている(2006 年)。
● 1950 年代初めの西丹沢の姿を少しだけ振り返ってみよう。檜洞丸(1601 m)の頂はブナの巨木が優先するうっそうとした森であった。モロクボ沢の頭から甲相国境尾根を西へたどれば深いスズタケの薮。イノシシがドッドッーとすさまじい地響きを残し、唸り声をあげながら疾駆していた。菰釣山(1348 m)は見ほれるようなブナの美林。南面の沢は酒匂川の最源流であり、当時ヤマメを手掴みにできた。

●今これらのブナ林とスズタケの薮はない。ブナの枯死は1980 年頃から始まり、現在、丹沢のほぼ全域に及んでいる。丹沢山地は夏季に南西風が卓越する。ブナの枯死はこの風を受ける尾根の西~南斜面において顕著であり、大気汚染物質がその主な原因であると考えられている。

●他方、シカの個体数が1980 年代後半から全山域で増加し、その採食圧によりスズタケ他の林床植生が各所で衰退・消滅をした。こうした山地斜面では降水による表層土壌の浸食がすすみ、生態系への影響のみならず、防災林や水源林の機能の低下を招いている。
 丹沢では他に観光目的の道路やロープウェイの開設計画もあったが、多くの市民から反対の声が起こり、県の英断で中止された。

●丹沢山地の森林機能の再生は、県民の強い願望であり、行政の緊急課題である。これを踏まえて丹沢の自然再生を図る施策が県を中心に策定され、逐次実施されつつある。この成果が目に見えるようになるかは未だ予断を許さないが、なお期待をつないでおきたい。
 丹沢はこのような現況にはあるが、大都市圏に近接しながら今なお豊かな自然環境に恵まれる貴重な山域である。次世代に残したい個々の事案は枚挙にいとまがないが、その一部を記す。

・ツキノワグマ個体群が利用する広大な連続性のある夏緑広葉樹(落葉広葉林)林・クマタカの家族が共に弧を描いて飛翔する丹沢主脈(東丹沢および北丹沢)の生態系
・檜洞丸周辺の生態系(夜間登山中のコノハズクの声、夏鳥たちの暁のコーラス、冬季山頂に飛来するオオマシコの群れなど)
・クロジが繁殖している大室山の生態系
・全国で行者ケ岳周辺(表丹沢)の岩場にだけ産する特産種サガミジョウロウホトトギス
・世附川上流域、中川川上流の西丹沢源流域、玄倉川中流域および早戸川上流域の生態系

●丹沢山地がもつ本来の価値は、これら個々の要素が互いにつなぎ合って構成する、一つの大きな生態系であると言えよう。
 この希少な丹沢の価値を少しも損なうことなく、次の担い手へまた手渡していこうよ。

●参考文献『丹沢大山自然環境総合調査報告書(1997)』

2015年11月9日月曜日

多摩川河口保全について連携団体総会で発表 

 11月8日。副支部長の石井隆が、日本野鳥の会連携団体総会で、多摩川河口保全と行動観察を中心にした探鳥会を発表しました。




つるまの森の件についての大和市長回答

 
          平成27年11月 2日

日本野鳥の会神奈川支部
  支部長 鈴木 茂也 様


                    大和市長  大木 哲

    当市行政の運営につきましては、日頃からご理解とご協力をいただき、厚くお礼申し上げます。
 先にお受けいたしましたご質問につきまして、次のとおり回答いたします。


①「つるまの森」に隣接する農地を重要な緑地として認識して保全を目標とする。

【回答】
 中央林間自然の森(つるま自然の森)につきましては、中央林間駅から近く、都市部に残された貴重な自然資源であることから、緑豊かな中央林間地区のシンボルとして、周辺に点在する公園等と併せた保全を図るという方針を定めております。また、中央林間自然の森に隣接する農地につきましては、「大和市緑の基本計画」の目標指標の一つである「みず・みどり率」に含まれており、保全を基本方針とした重要な緑地であると認識しております。


②当該地域を市街化調整区域として存続させ、緑地保全の強化を図る。

【回答】
 内山地区につきましては、これまで全域を市街化調整区域に編入するため、特定保留区域として位置づけておりましたが、平成28年12月頃に予定している「第7回線引き見直し」において、中央林間自然の森を市街化調整区域として緑を保全し、それ以外の区域を一般保留地域として位置づける予定でございます。
 一般保留区域に位置づけられた場合、地権者の合意形成が図られたエリアは、段階的に市街化区域に編入することが可能となることから、緑地の保全のあり方や農地の生産緑地地区の指定について、地権者の方と話し合いながら、検討を進めてまいりたいと考えております。


③土地所有者の税制面等での優遇と協働を諮る。

【回答】
 今後も都市緑地の永続的な保全や農地の保全策の検討を進めるなかで、税制上の優遇や協働により、保全緑地での活動の促進に努めてまいります。



      事務担当:みどり公園課   電話 260-5451
    事務担当:街づくり推進課   電話 260-5446
  「陳情・要望」受付担当:広報広聴課   電話 260-5124

2015年11月5日木曜日

柴田敏隆さんを語る会 報告

9 月12 日 かながわ労働プラザにて

 会場には約170 名の人たちが集い、思い出の映像を背景に、故人と交遊の深かった方々が次々に思い出を語られました。野鳥の会のみならず、「三浦半島の自然を守る会」の設立、「横須賀市立博物館」創設時の活躍など多方面にわたる業績を偲びました。柴田先生は生まれ育った三浦半島をこよなく愛し、多くの青少年と共に山野を歩かれました。採集を伴わない自然観察会を基にした今日の自然保護活動の礎を築かれました。この日、先生の足跡をたどりつつ、自らの若かりし頃に思いをいたす参加者も多かったのではないでしょうか。


ご遺族の方々から日常のご様子についてお話がありました。晩年まで読書を欠かさず、ご多忙の中、観察会の前日には深夜のコンビニで資料をコピーされていたそうです。最後に奥様から「見よ、兄弟たちが席を同じくしている、何という喜び」という聖書の言葉と共に、参加者一人ずつの手をとられ、お別れとなりました。    
(編集部 久保廣晃)

2015年11月4日水曜日

多摩川河口保全の署名提出!



 10月31日。約3,100名の署名を川崎市に提出しました。
日本野鳥の会東京と日本野鳥の会神奈川支部の共同で署名を行いました。
ご協力頂いた方々、大変ありがとうございます。
今後も署名や要望に関して川崎市や国などと協議したいと思います。