2015年7月18日土曜日

全国都市緑化フェアに対して要望書を提出

2015年7月17日

日本野鳥の会神奈川支部
支部長 鈴木茂也


横浜市長 林 文子様

        全国都市緑化フェアの里山ガーデンの計画変更について(要望)


   拝啓 日頃から市内の生物多様性を守り育てる施策を推進されていることについて、感謝しております。
  さて、貴市は2017年3月~6月に、「全国都市緑化フェア」を開催されると聞き及んでおります。貴市が先進的に行ってこられた緑の取組の成果をアピールし、横浜ならではの「美しい花と緑豊かなまち横浜」を発信されるとの趣旨には、小会としても異論はありません。しかし、先日公表された「第33回全国都市緑化よこはまフェア基本計画」を拝見したところ、郊外部会場(里山ガーデン)の会場計画には、以下のように少なからず問題があると考えます。
「郊外部会場/里山ガーデン」とされた横浜動物の森公園の植物公園予定地は、同計画にも書かれている通り、横浜らしい豊かな里山が残る場所で、横浜市で激減してしまった谷戸の生態系が残っている場所です。
しかし具体的な会場整備の計画を見ると、こうした現在の生態系の重要性とは裏腹に、谷戸を埋め立て、園芸種を植える花畑の花壇を創出するイメージが掲げられています。こうした造成は、里山・谷戸の生態系を不可逆的に破壊するもので、基本計画に掲げられた「横浜の森を楽しむ」「横浜の里山の魅力、楽しみ方」「生物多様性の主流化を発信」といったテーマ、サブテーマの実現を不可能にする計画であり、生物多様性保全を目指す横浜市の方針とも大きく異なります。
また、園芸種として植栽され、そのまま山野に広がってしまった外来種も多く見受けられます。このような植物の中には地域の在来種に大きな打撃を与えているものもあります。さらに緑化に使用される植物については在来種の利用を促進させるべきであるとも考えています。
 小会は、こうした問題のある里山ガーデンの会場計画案に反対します。里山ガーデンでは、既存の自然を生かした形での、里山保全再生を目指した計画変更を求めます。

(参考)
 里山ガーデン予定地では、神奈川県レッドデータブック2006で絶滅危惧Ⅱ類であるキンラン、要注意種のアズマヒキガエル、シュレーゲルアオガエル、クツワムシ等の絶滅危惧種が確認されており、未調査な生物についての情報集積が待たれる場所です。鳥類についても、渡り鳥などの生息地として重要な場所です。